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私たちの体は筋肉や皮膚、内臓など柔らかい組織でできています。ところが、その中で口の中にある歯だけは「骨より硬い」といわれるほど特別な存在です。
実際、歯の硬さはモース硬度で約7とされ、鉄(硬度4〜5)やガラス(硬度5〜6)よりも硬く、石英に近い硬さを持っています。その秘密は、歯の表面を覆うエナメル質にあります。
エナメル質は、体の中で唯一ほとんどが無機物でできた組織で、その主成分はハイドロキシアパタイトというリン酸カルシウムの結晶です。この結晶が規則正しく並ぶことで、ガラスや石に匹敵する硬さを生み出しています。
体の他の部分が柔軟で細胞による再生力に富むのに対し、歯は無機物をぎゅっと詰め込んでいるため非常に硬い一方で、細胞による自己修復はできません。一度大きく削れたり欠けたりすると、元の形には戻らないのです。
では、なぜ歯だけがそんな特別な性質を持つのでしょうか。
人類の祖先は進化の中で、食べ物を効率よく噛み砕くために「天然の石器」ともいえる歯を発達させたと考えられています。柔らかい有機体でできた体の中に、石のような結晶を作り出す仕組みは、まさに生き延びるための知恵だったのです。
こうして生まれた歯は、体の中でも極めて特別な存在であり、石やガラスのように硬いけれど壊れても自力では直せないという特徴を持っています。(ただし、ごく初期の段階であれば再石灰化によって、唾液の力で修復することは可能です。)
だからこそ、一生ものの大切な"道具"として、毎日のケアで守っていくことが何より重要なのです。