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最近、予防やメインテナンスの大切さを伝えるために「歯は一本〇〇万円の価値がある」といった表現をよく見かけるようになりました。
伝えたい意図はよく分かりますし、それだけ大切なものだという点には同意します。ですが、一人の歯科医師として、私はこの「体の一部を金額に換算する」という考え方に、少し違和感を覚えています。
なぜ違和感があるのか。それは、歯を「金額」で評価してしまうと、歯が本来の体の一部という存在から離れ、単なる「資産」や「消耗品」のように思えてしまうからです。
もし歯を資産やモノとして捉えてしまうと、それを失った時の治療も、単に「欠けたパーツを買い直す」という買い物のような感覚になってしまいます。でも、歯科医療の本質は、決して失ったパーツを「購入」することではありません。
誰であっても、病気や事故、あるいは年齢を重ねる中で、体の一部を失ってしまうことはあります。そのとき、私たち医療者が行うべきは「代わりのモノを売る」ことではなく、失われた機能を回復させ、その人が再びその人らしく生活できるように支えることです。
治療に費用がかかるのは現実ですし、使う素材によって金額が変わるのも事実です。しかしそれは、決して「歯そのものに値段がついている」わけではありません。あくまで、その方の健康を維持し、これからの生活を支えていくための処置にかかる費用です。
「いくらの価値がある歯か」を考えるのではなく、「その歯でどう健康に過ごしていくか」を考える。
私はこれからも、そんな視点を持って一人ひとりの患者さんと向き合っていきたいと思っています。