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「毎日ちゃんと歯を磨いているのに、歯石がついていると言われた」
そんな経験はありませんか?
歯石は、歯磨きをしていてもできることがあります。
では、なぜ歯石ができるのでしょうか。そして、一度できた歯石は歯磨きで取ることができるのでしょうか。
今回は、歯石について簡単にご説明します。
歯の表面に付着する細菌のかたまりを「プラーク(歯垢)」といいます。
プラークは、うがいで流れてしまうような汚れではありません。
細菌と、細菌自身がつくり出したネバネバした物質が、膜のようになって歯にくっついています。
だからこそ、歯ブラシなどで「こすり落とす」必要があるのです。
そして、プラークは歯磨きで取り除くことができます。
一方、お風呂場の鏡や蛇口についた白い汚れを、いくらこすってもなかなか取れないことがあります。これは、水に含まれるカルシウムなどが固まった「水垢」です。
歯石も、硬くなるという点ではそれと少し似ています。
歯に付着したプラークに、唾液中のカルシウムやリンなどが沈着して、石のように硬くなったものが「歯石」です。
つまり、
プラーク → 数日かけて唾液中の成分が沈着 → 硬くなる → 歯石
ということです。
石灰化は、早い場合には数日で始まります。「毎日きちんと磨く」ことが大切なのは、この段階をつくらせないためです。
ただし、水垢とひとつだけ大きく違うところがあります。
歯石は「ただの硬い汚れ」ではなく、その表面や内部に細菌がいるということです。
ここが歯石の厄介なところです。
なお、歯ぐきの中(歯周ポケットの中)にできる歯石は、唾液ではなく、歯ぐきからにじみ出る液や血液の成分が沈着してできます。
色も黒っぽく、鏡で見てもわかりません。歯ぐきの中の歯石は、ご自身では気づけない歯石なのです。
一度硬くなってしまった歯石は、歯ブラシでは基本的に取り除くことができません。
お風呂場の水垢と同じように、いくら磨いても簡単には取れないのです。
「歯石が取れる」とうたう歯磨き粉やうがい薬でも、すでに硬くなった歯石を落とすことはできません。
また、市販の歯石取り器具を使って無理に自分で取ろうとすると、歯ぐきを傷つけたり、歯の表面を傷めたりする可能性があります。
削り残した歯石の表面がかえって粗くなり、汚れがつきやすくなってしまうこともあります。
歯石は、歯科医院で専用の器具を使って除去します。
ただし、ここで大切なのは、
「歯石を取れば、それで終わり」ではない
ということです。
歯石そのものが、直接歯周病を起こすわけではありません。
問題なのは、歯石が細菌のすみかになることです。
歯石の表面はザラザラしていて、内部には細かい穴がたくさんあります。そして歯石の表面は、常に生きたプラークで覆われています。
つまり歯石は、プラークがつきやすく、しかも落としにくい「土台」になってしまうのです。
特に歯ぐきの近くや歯ぐきの中に歯石がたまると、歯ぐきに炎症が起こりやすくなります。
その状態が長く続くと、歯周病が進んでいくことがあります。
だからこそ、
歯石になる前にプラークを取り除くこと
が大切です。
「毎日歯を磨いているのに、歯石がつくのはなぜ?」
と思う方もいるかもしれません。
実際、歯磨きをしていても、歯と歯の間や歯ぐきの境目、奥歯の周囲などには、どうしても磨き残しができることがあります。
特に歯と歯の間は、歯ブラシの毛先だけでは届きません。
また、歯石のつきやすい場所には特徴があります。
下の前歯の裏側
上の奥歯の外側(ほお側)
このどちらも、唾液の出口が近い場所です。唾液に含まれる成分が届きやすいため、歯石がつきやすくなります。
さらに、歯石のできやすさには個人差があります。唾液の量や成分、歯並び、口で呼吸する癖、喫煙、詰め物やかぶせ物のふちの状態などが関係します。
そのため、
「歯磨きをしている=歯石が絶対につかない」
というわけではありません。
歯石がつきやすいこと自体は、必ずしも「磨き方が悪いから」だけではないのです。
歯科医院では、すでにできてしまった歯石を取り除くことができます。
すでに歯ぐきに炎症がある場合、特に歯ぐきの中の歯石を取り除くことは、「おまけのお掃除」ではなく歯周病の治療そのものです。
これは、ご自宅のケアでは代わりになりません。
その上で、同じことを繰り返さないために大切なのが、毎日のケアです。
毎日の歯磨き
歯間ブラシやフロスの使用
磨きにくい場所を知ること
ご自身に合った間隔での、歯科医院でのチェックとクリーニング
歯磨きは「歯をきれいにする」だけではありません。
歯石になる前のプラークを取り除くための大切な習慣なのです。
なお、歯石を取ったあと、一時的に歯がしみたり、歯ぐきが下がって歯と歯の間が広くなったように感じることがあります。
これは、炎症で膨らんでいた歯ぐきが引き締まってくるためで、多くは時間とともに落ち着いていきます。
歯石は自分では見つけにくい場所にできることもあります。
「最近、歯石がついている気がする」
「歯磨きをしているのに、歯ぐきから血が出る」
「歯科検診で歯石を指摘された」
という方は、一度歯科医院でお口の状態を確認してみることをおすすめします。
歯石を取ることだけで終わりにするのではなく、なぜ歯石がついたのかを一緒に考え、毎日のケアにつなげていくことが大切です。
田尻下歯科医院では、定期的なお口のチェックやクリーニングを通して、できるだけ歯を長く健康に保てるよう、予防歯科に取り組んでいます。
「歯が痛くなってから」ではなく、気になることがあれば、早めにご相談ください。