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「8020運動」という言葉をご存じでしょうか。
これは、80歳になっても自分の歯を20本以上保とうという取り組みです。
実は、8020を達成している人は、以前と比べて大幅に増えています。
厚生労働省の2024年の歯科疾患実態調査では、8020達成者の割合は61.5%でした。
つまり現在では、80歳の約10人に6人が、自分の歯を20本以上残していることになります。
これは、30年前と比べると大きな変化です。
1993年の調査では8020達成者は約10.9%でした。それが、
1993年:約11%
1999年:約15%
2005年:約24%
2011年:約38%
2016年:約51%
2022年:約52%
2024年:約62%
と、長期的に増加してきました。
かつては「80歳で20本」はかなり難しい目標でしたが、現在では10人に6人が達成する時代になっています。
日本人を対象とした研究では、歯が多く残っている人ほど、死亡リスクが低い傾向が報告されています。
例えば、山形県の住民2,000人以上を約11年間追跡した研究では、天然の歯が20本未満の人は、20本以上ある人と比べて、全死亡リスクが約1.6倍でした。
また、70歳の日本人を5年間追跡した研究でも、20本以上の歯がある人と比較して、19本以下の人では死亡率が高いことが報告されています。
こうした研究から、
「歯が多く残っている人ほど、健康に長く生きている傾向がある」
ことは分かってきています。
研究から分かっているのは、あくまで「歯の本数と寿命に関連がある」ということです。
「歯を20本残したから、その結果として寿命が延びた」とまでは証明されていません。
例えば、歯を多く残している人は、
毎日きちんと歯を磨いている
定期的に歯科医院を受診している
喫煙しない
食生活に気をつけている
健康管理をしている
といった生活を長年続けている可能性があります。
一方で、「歯の本数は単なる健康状態の目安にすぎない」と考えるのも正確ではありません。
歯が多く残っていれば、食べ物をしっかり噛むことができます。
しっかり噛めることで、さまざまな食品を食べやすくなり、食事の楽しみや栄養状態を維持することにもつなります。
反対に、歯を多く失うと、硬いものや噛みにくいものを避けるようになり、食事の内容が偏ってしまうことがあります。
さらに、歯を失った状態が続くことは、フレイル(心身の活力が低下した状態)や低栄養などとも関連することが分かっています。
歯を残すことは「歯のため」だけではなく、将来の食生活や健康を守ることにもつながる
と考えられます。
8020という数字を見ると、「80歳になったときに20本あればいい」と感じるかもしれません。
しかし、本当に大切なのは80歳になってからではありません。
20本の歯を残すためには、子どもの頃からの虫歯予防、毎日の歯磨き、歯周病の予防、そして定期的な歯科検診など、長年の積み重ねが重要です。
80歳で20本の歯が残っている人は、80歳になって突然20本になったわけではありません。
若い頃から自分の歯を大切にしてきた、その結果として20本以上の歯が残っているのです。
「歯医者は痛くなったら行くところ」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、虫歯や歯周病は、症状が出てから治療するだけでなく、悪くならないように予防することがとても大切です。
80歳になったとき、
「自分の歯で好きなものを食べられる」
「家族と一緒に食事を楽しめる」
そんな生活を続けるためにも、今ある歯を大切にしていきましょう。
8020は、80歳になってから目指す目標ではありません。
今日から始まる、長い歯の健康づくりの目標です。
8020運動について、さらに詳しく知りたい方は、8020推進財団の公式サイトもご覧ください。