2024年6月、厚生労働省は虫歯や歯周病の重症化を防ぐことを目的とした新たな制度を導入しました。この制度は、「治療中心」から「予防中心」への歯科医療の転換を目指したものです。
これまで、日本では多くの方が虫歯などの症状が出てから歯科医院に通っていました。しかし、定期的に歯科検診を受け、口腔内を継続的にメインテナンスすることで、加齢による歯のトラブルを未然に防ぎ、より多くの歯を健康に保てることが科学的にも明らかになっています。
実際に、北欧諸国では30年以上前から予防歯科を推進しており、虫歯や歯周病の発生率は日本の10分の1にまで減少しています。一方、日本では定期検診の受診率が低く、その有無によって将来的な歯の残存数に大きな差が出ているのが現状です。
こうした背景を受け、日本でも「削って詰める治療」から「虫歯にしない・歯を失わない」ための予防重視の歯科医療へとシフトし始めています。
一定の条件を満たした歯科医院は、「口腔機能管理強化型歯科診療所」として厚生労働省から認定を受けることができます。この認定を受けるには、感染予防対策や予防歯科に関する診療実績など、厳しい基準をクリアする必要があります。
これまでの日本の保険制度では、虫歯や歯周病といった「治療」に対してのみ保険が適用され、予防的な処置は自由診療(自費)となっていました。
つまり、予防やメインテナンスは患者さんの自己負担が大きく、継続的に受けるにはハードルが高い状況でした。
しかし現在、「口腔機能管理強化型歯科診療所」として厚生労働省の認定を受けた歯科医院では、虫歯や歯周病の予防・メインテナンスを保険診療の範囲内で毎月行うことが可能となりました。
これにより、患者さんは以前よりもずっと通いやすく、費用面の負担を抑えながら定期的なケアを受けることができるようになりました。
主な保険適用の内容は、以下の通りです。
歯周ポケットの検査、口腔内写真撮影、歯石除去、染め出しなど、一人一人の状態に合わせて、担当の歯科衛生士が丁寧に対応いたしますので、安心してご来院ください。
フッ素には、再石灰化を促し、歯の表面のエナメル質を強くして、虫歯を予防する効果があります。
まだ歯が生えて間もないお子様はもちろん、大人にも有効です。
大人の場合、不規則な生活でブラッシングの時間が取れなかったり、間食により虫歯のリスクが高くなりがちです。
フッ素は予防処置になりますが、か強診に認定されている当院では、お子様だけでなく大人も毎月保険が適用されます。
歩行困難など通院が難しい患者さんに対して、訪問診療を行い、虫歯・歯周病治療~予防まで提供することが可能です。
当院は「口腔機能管理強化型歯科診療所」に認定された歯科医院として、今後とも歯周病の治療・予防により一層力を入れてまいります。
患者さんのお口の中の健康を、生涯にわたり定期管理・医療管理するため、安心・安全な歯科医療サービスを提供していきます。そして、時には、患者さんの身体の状況に応じた歯科保健サービスを、医療機関や地域の包括支援センター等と連携して、地域ぐるみで歯科医療を提供していきます。
「口腔機能管理強化型歯科診療所」とは、厚生労働省が定める厳しい設備や体制の基準を満たし、地域での包括的な歯科医療の提供を推進する歯科医院のことです。
この認定を受けるためには、以下のような条件をクリアする必要があります。
医療安全対策、感染症対策に関わる研修、また高齢者の口腔機能管理や緊急対応時の研修を修了している複数人の歯科医師が配置されていること。
迅速な歯科診療における偶発症など緊急な対応を要するときに、別の保健医療機関と連携体制がとれていること。当院では、東京医科歯科大学になります。
AED、救急蘇生セット酸素ボンベなど、医療安全対策に必要となる十分な設備が整い、対策内容を院内に掲示していること。
歯周病治療終了後も継続的なメインテナンスに取り組んでいること。(全てのユニットにエアフロージェット配備)
被せ物や入れ歯調整など、歯科治療時に飛散する細かな物質を吸収する、歯科用吸引装置などを設置していること。(当院ではすべてのユニットに口腔外バキュームを配置しております。)
地域で在宅医療を行う医科と連携体制が整っていること。
お口の中で使用した歯科医療機器などは、患者様ごとに交換し、専用の機器で洗浄・滅菌処理を徹底し、感染症対策を講じること。